地盤研究財団
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第34集
No.34
(2021.4 〜 2022.3)

事故の続発する日本の地盤工学の現状

 最近日本で多発している地盤工事に伴う事故をみると、博多駅前陥没事故(2016/11/8)を端緒として、新横浜駅前連続陥没事故(2020/6/12 続いて6/30)が発生したが、原因としてシールドトンネルの取り込み過ぎであるという結論に基づき、工事再開された2020/9/2から、2020/10/18に東京外かく環状道路のシールド工事により調布市で又もや陥没事故が発生した。
 最近多発しているシールド工法に起因の陥没事故を受け、国交省は「シールドトンネル施工技術検討会」(委員長 龍岡文夫東大名誉教授)を設置し、2021年9月28日に第1回会合を開き、その後、第5回目の2021年12月17日に「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン(案))が策定された。
 東京外郭環状道路の調布市における陥没事故は、事故原因として取り込み過ぎであるという結論を得て、上記ガイドラインに基づく工事再開を予定していたが、陥没事故が起きた東京都調布市の住民らが工事差し止めを求めた仮処分に対して、東京地裁は2022年2月28日、「具体的な再発防止策が示されていない」として一部工事の差し止めを命じる決定を下したと報じている。
 ガイドラインにおいては、総合的な視点から取りまとめられており、ガイドラインで示されている切羽圧力管理、裏込め注入工、などの管理手法が述べられている。
 東京外郭環状道路のシールド工事においては、地表面における地盤沈下や、地盤表面傾斜などが観測されているが、主とする施工管理はチャンバー内土圧管理を中心とするチャンバー内の土の塑性流動性の確保を通じた切羽の安定性が中心で、その結果としての地盤挙動の確認観測は地表面変位挙動に留まっていて、有効的な現場観測工法の模索が望まれる。
 現場観測工法の開発とその適用は、当財団の得意分野であったが、財団分割により、その伝統は途絶している。国際地盤工学会法地盤専門委員会TC302(ホスト:インド地盤工学会)の下部組織として、日本地盤工学会の中に、現場観測工法技術委員会が設置される運びとなっている。
 現在の地形・地質・地盤・地震における地盤工事の前段階である調査研究活動も重要であるが、さらに、“現場観測工法”などのような工事中における活躍の場も目指していけば、さらなる広がりが見えてこよう。
 さて、本論文報告集は令和3年度(2021年4月−2022年3月)における他機関との共同研究を含め当財団の所員が公表した研究成果をまとめたものであり、関係各位に感謝申し上げ、序文とする。

令和4年6月

 代表理事   岩崎 好規
財団法人 地域 地盤 環境 研究所
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